人の顔色ばかりをうかがってきたように思う。


13歳ぐらいのときに、家族から父親が消えた。それからわたしには母と弟がかけがえのない家族になり、何を置いても守るべくは2人になった。何かをするにしてもやめるにしても、2人の、特に母の言うことを聞いていた。いいんじゃないと言われれば、いいんだろうなと思い、それはないと言われれば、それはないなと思った。行動基準が母であった。あの頃のわたしは、確実に、絶対に。

母に頼られることが好きだった。周りから「いい子だね」「よくできた子だね」「えらいね」とかそんなことを言われることも、同じぐらい好きだった。母に頼られて、周りの人に褒められるのが、本当に好きだった。今でも引きずっている。来年30になるのに。



わたしのことを頼る人が好きだった。頼られることが好きだった。それを共依存と言うのを知ったのは、割とつい最近のことだった。

頼ってくる人にはできるだけ応えようと思っていたし、今でも思っているし、だから夜中の電話も呼び出しも、授業中の電話もメールも、なるべく早いレスポンスを心掛けた。これは高校を卒業した頃から、だから、18から今までずっと。わたしはずっとずっと、他人からわたしへ向けられる依存心に縋りながら生きている。



でも、長年そんなことをやっていて、最近気付いた。

悩みが解決した人はわたしから去っていくし、連絡も寄越さなくなる。わたしのことを大好きだと泣きながら言っていた子は、今もう何をしているのかも知らないし、わたしが話を聞いてくれたから少しずつ立ち直れたと言ってきた子は、男ができてどこかに行った。深夜の電話を続けてきたあの人も、結婚して子供が産まれたら全く連絡を寄越さなくなった。母はわたしに対して、「あなたの予定なんて、わたしからお願いしていることに比べたらどうでもいい」と言った。一人の人間として扱われていないと思った。

だから、そんなもんなんだ、と最近知った。本当に最近知った。みんな本当にわたしのことを好きだと、ありがとうと、思っていてくれてるんだと思っていた。でもそれはごく一時的な、限定的なものだったらしい。継続しないものらしい。



恋人だけが、わたしをずっと頼って、ずっと甘えさせて、優しくしてくれる。怒らないで一緒にいてくれる。毎日何があっても連絡をくれる。付き合いたての頃に悩みの種だったことが解決しても、そばにいてくれる。恋人だけが、そうしてくれる。



つかれた。